EC支援サービスのさらなる強化のため国立フルフィルメントセンターを開設
2024年6月、フルフィルメントセンターとしては4施設目となる国立フルフィルメントセンターが稼働を開始しました。当社では宅配便の発送代行やEC事業者等の物流支援等を行うフルフィルメントサービスに設備・人材両面で成長投資を続けており、同フルフィルメントセンターは自社所有施設としての開設になります。
この上期におけるダイレクトメール事業は、前年同期比で11.4%増収。営業利益で19.8%の増益となり全社の業績拡大に大きく貢献していますが、それを牽引するのが、「ウルロジ」を中心としてEC物流支援を行うフルフィルメントサービスです。
EC通販市場の拡大にともないWebショップで販売した商品の受注管理、梱包、発送、在庫管理等のアウトソーシング需要は増加を続けており、当社においても受注処理能力の向上は喫緊の課題のひとつとなっていました。今回稼働を開始した国立フルフィルメントセンターの延床面積は2,574坪。本センターの開設によりフルフィルメント拠点合計の床面積はこれまでの1.4倍の広さとなり、大幅な受注処理能力の向上を見込んでいます。
社内外とのシナジーを生む好立地
こうした成長投資に踏み切れた最大の理由は、東京都国立市という立地のよさにあります。既存のフルフィルメントセンターと同じく西東京エリアに位置し、顧客となるEC事業者にとってアクセスしやすいだけでなく、中央自動車道・国立府中ICからも車で約3分と、配送を担う大手配送キャリアにとっても利便性の高い立地にあります。また本社との距離も近いため、営業部門との効果的な連携も見込めます。
国立市は同業他社の物流倉庫が多く存在する、いわば関東圏における物流倉庫の一大集積地です。たとえば他社のキャパシティを超えた貨物を受け入れる、逆に他社へ融通するといった柔軟な対応が可能となります。物流業界ならではの「横のつながり」を生かし、社内外とのシナジーを創出しやすい環境下にあります。
従業員の働きやすさにも配慮
国立フルフィルメントセンターには、8名の正社員と23名のパートタイム従業員(2024年11月5日現在)が所属しています。従業員が万全の状態で働けるよう、センター内の職場環境にも充分に配慮しました。
施設面では、天井高を低くしシャッターを活用することで適切な温度管理をしやすくしただけでなく、従業員が自由に使える休憩室を完備。また1枚あたり500kgを超える荷物を載せているパレットを手動で上げ下げできる電動フォークリフトや、ECサイトで販売された商品を購入者ごとに自動で仕分ける「オムニソーター」といった大型DX機械を導入し、業務負担の軽減とともに、業務の正確性および生産能力の向上を図っています。
1階はパレットを積み込むスペースになっている。
センター内には作業スペースのほか、お客様からお預かりしている商品(顧客ECサイトで販売している商品)が所狭しと並ぶ。
いわゆる「物流DX」が叫ばれていますが、DX化への投資に関してどういった考えをお持ちですか。
自動高速仕分けロボット「オムニソーター」導入など、各拠点において物流DX化の取り組みを進めているところです。
ただ、現状、フルフィルメントセンターにはまだまだ手作業でしか行えない作業が非常にたくさんあり、導入にあたっては慎重に検討を行ったうえで実行に移しています。たとえば梱包だけとっても、段ボールを組み立て、中に納品書を入れ、テープで塞いで、印字した伝票を貼る……という作業がありますが、人がやった方がコストも低く、かつ作業スピードも速いんです。機械やAIがもっと進歩すれば代替可能になるかもしれませんが、現状ではまだまだコスト過剰になってしまう。また商品の保管に関しても、売れ筋の商品とそうでない商品とで適切な保管場所を考えるというようなことは、人でないとできません。
物流のDX化も当然大切ですが、当社のビジネスにとって人的リソースへの投資は欠かせない。だからこそ、物流DXだけでなく働きやすい環境整備のための社内DXや、積極的な人材投資にも重点を置いています。
自動高速仕分けロボット「オムニソーター」
日野フルフィルメントセンター、八王子第5フルフィルメントセンターに続き、国立フルフィルメントセンターにも自動仕分け機械「オムニソーター」が導入されている。
具体的には、どういった社内DX化が推進されているのでしょうか。
社内業務はすでにかなりの部分がデジタル化されていて、社内システムの操作はiPhoneアプリで行えます。僕はもう仕事ではパソコンもいらないかもしれない(笑)。
今後は、このアプリをさらに進化させ、AIを活用した業務支援の仕組みづくりも進めています。たとえばAIに「ガムテープはどこにありますか?」や、「子供が生まれたのですがどうすればいいですか?」と尋ねると、社内マニュアルから答えを検索して答えてくれる。些細な質問であっても、何度も聞かれるような質問はAIに答えてもらえば業務効率化につながりますよね。
人材面の投資としては、どんな戦略がありますか?
より効率的に新規受注を獲得するため、営業人材を拡充するとともに営業手法の一部見直しを考えています。これまで当社ではダイレクトメール事業をはじめ、特定の業種やエリアに偏らない営業活動をしてきましたが、顧客ターゲットを絞ることにより、より効率的に新規受注を獲得することが狙いです。大口顧客の獲得においてもターゲットを絞った営業が欠かせないと考えています。
これまでに当社がフルフィルメント事業で培った、他社にはない商品管理や発送ノウハウが評価され、新規顧客からの受注が増加しています。特に引き合いが増えているのが、「推し活」ブームに後押しされた芸能人やアニメグッズ等のIP関連商品です。購入者ひとりが一度に複数個の商品を購入するケースが多いため、利益率が高く、重点的な営業を実施することで利益の上積みを狙います。
倉庫業務を営業部門が兼任する企業もあるなか、営業に集中できる環境を構築しているのは当社の強みのひとつです。さらに専門人材の拡充を図ることで、飛躍的な成長を目指していきます。
新たな事業展開についての予定はありますか?
ダイレクトメール事業のノウハウを生かした、総合的な個人情報管理ソリューションのシステム構想を進めています。従来、DMを発送する際には顧客が持つデータベースから顧客自身で送付先リストを抽出する必要がありましたが、住所変更などの登録状況が反映されておらず、住所不明で返送されてしまうことが多くありました。
そこで、データベースを当社のサーバで預かり、API連携により最新の登録状況を自動で反映させていくというシステムです。これにより、データを1か所書き換えるだけで双方がそれを享受できるようになります。
ダイレクトメール事業により当社が蓄積した情報やノウハウは、顧客の販売促進や、デジタルマーケティングにも有効です。今後の計画としては、AIとIoTを駆使したロジスティクス4.0を推進予定です。これまで人でなければ不可能だった業務を自動化することにより大幅な効率化を果たし、加速度的な成長を目指したいと考えております。
TOPICS
大型機械の導入でDM作業の生産能力の増加及び生産性向上へ
主軸であるダイレクトメール事業は20 期連続で増収を達成し、当第2四半期でも売上高前期比11.4% の伸びを示し、受注は堅調に推移している。今後も引き続き同様の傾向が継続すると見込んで、さらなる成長拡大のために大型機械の追加導入を決定した。
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